2024/12/13

An Ancient Pottery Bowl Filled With Fresh Violets.







 先日お迎えした白い星のすみれと、いつかの冬至の季節に草舟あんとす号さんでひらかれたtegamiyaさんの個展『闇と光のユール』できていただいたネクタルと名づけられた葡萄酒の杯をならべると、わたしの太陽のサビアンシンボルみたいになるなと感じて、なんとなくそのように飾っている。


 An Ancient Pottery Bowl Filled With Fresh Violets.――菫で満たされた古代の陶器。


 黒い杯の葡萄、白い星の菫。


 その陰陽の対比も、太陽というものを象徴しているように感じられて。


 やっぱりなんとなくで薔薇色のリボン(そしてそこに一輪の矢車菊)を結んでいたら、隣のお月さまと握手しているみたいに。


 ふと自分の誕生石がアメジストであることを思いだし、葡萄も菫もその石に通じているものがあるなと感じたりした。紫はわたしの色だとよくいわれるけれど(そしていつしかわたし自身もそのように思うようになったけれども)、なにか呼応しているものがあるのだろうか。





 葡萄酒の杯を迎えたとき、その作品に捧げられた言葉も一緒にいただいて、それを折に触れて想いだす。


 「遠く道を追い求める人よ 永遠の秘密 心にまつわる謎 愛の行方 解き明かす目覚めの味をどうぞ」




 アメジストはアルテミスにつかえた乙女の名を授けられた石で、彼女とディオニュソスにまつわる神話の顛末から、お酒の悪酔いを防いだり、また邪悪さから身を防ぐ石だとつたえられる。


 月といえばアルテミスが想起されるし、ギリシア神話であればなおさらそうだ。でも、葡萄と月がならんだ絵を見て、わたしがその月に感じたのはアリアドネだった。


 わたしが知るアリアドネは月と深く親密な結びつきをもつ女神のおひとりで、そして大好きな女神でもある(もちろんアルテミスも)。


 それに葡萄と月を見て想うのは、邪悪さの結界よりも愛の行方でありたい。


 けれども“VANITAS”というテーマのことを考えれば、もしかしたらあの月はアルテミスの月だったのかもしれない。それでもいいの、わたしが視てなにを感じ、なにを受けとったのかが、わたしにとってはもっとも大事なことだから。