2026/03/02

常盤桜









 先日、「常磐」についての文章を綴ったら、「常盤桜」という桜があるらしいと教えていただきました。


 (表記は「常磐」ではなく「常盤」で、どちらもおなじ意味なのだけど、この漢字の使い分けのしかたも気になっている)


 江戸時代の桜花譜にその名が見られると聞き、いつか草舟あんとす号さんでお迎えした『桜狂の譜』にも載っているかしらと調べていたら、ありました🌸


 プリムラの一種、和名なのだそうです。


 添えられた歌には

 「わか君の めくみあまねき みよとてや 花もときはに ひらくなるらん」

 とあって、やはりそういうことなのよね、と思いつつ。










『片翅の泉』 Q&A ① 今回の展示のテーマ









 3月に草舟あんとす号で開催されるふたり展、『片翅の泉』にさいして、ご店主よりいただいたご質問にお答えするかたちで展示のご案内をするとおもしろいのではないかというアイディアをいただき、いくつかの問いを頂戴したので、今日はそのなかのひとつにお答えできればと思います。




 Q.1 今回の展示のテーマ


 「テーマ」というのはとくに決めず、ただ漠然と、今回ふたり展としてご一緒させていただく画家のyukaneさんとのあいだで言葉をもたない通信というのか、そういうものがあったことは覚えています。


 自分のなかにあるものが相手のなかにもあることを、感じとるような“通信”といえばいいのでしょうか。


 そこから浮かびあがるキイワード、たとえば一角獣、泉、桜と薔薇、蝶、双子、といった一見別々のもの、異なるものを、空にかがやく星のひとつずつに見立てて金の糸で繋ぎ、結びあわせることで星座にしたものから浮かびあがる絵、それがテーマといえばテーマであるといえるのだと思います。


 その「星座」にyukaneさんがどのような名をつけるかはyukaneさんの“物語”があると思いますが、わたしはわたしの「星座」であり“物語”に『月の片翅』という名をつけ、本にしました。


 「陰陽」というテーマも、この展示にかぎらず昔からわたし自身のおおきな主題であり、自然ななりゆきでこのたびの『片翅の泉』展にもそれが姿をあらわしてもいます。


 そして遡ると、まずこの展示の構想が立ちあがった2年とすこしまえ、はじめにyukaneさんが描かれたのが銀の色をした一角獣であったと想いだすことができ、つぎに漆黒の色をした一角獣の絵があらわれて、二頭が向かいあう中心に泉が生まれたとき、お互いの一部を、光と影をわけあっている二頭の「陰陽」からもたらされたものとして、双子の姉妹の物語を紡ごうと思ったので、もっともおおきなテーマ、星座として浮かびあがるものは「陰陽」なのかもしれないなと、問いをいただき、あらためて想いを馳せることで感じるものもありました。


 『月の片翅』の物語の双子の姉妹は新月と満月という名になったのですが、それもこのテーマ、星座として浮かびあがったものから導きだされた名であったと思います。


 折しもいまは2月の金環日食があった新月と、明日の皆既月食がある満月のはざまの時間。


 「はざま」――冬と春の、雪と桜の、ふたつの対極にある力。


 はざまという言葉が、今回物語を紡ぐにあたって自分のなかから出てきたので、それも興味深いなと思いつつ。


 その「はざま」とは、陰と陽の中間、銀と漆黒の一角獣の中心にある、泉に通じている場所なのかもしれません。





 ちょうどつい昨日、完成した本が到着してくれました。

 B6版 123頁








 yukaneさんの『金の糸』という詩画集と、装丁が対の鏡あわせになっています。


 2冊の本をならべると表紙の蝶が向かいあうように配置されており、色はわたしがスノーホワイトで、yukaneさんがダークネイビーです。





 この本のことや内容についても、すこしずつご紹介できればと思います。













2026/03/01

継承










 過日、数間よし乃監督作品『継承』を鑑賞してきました。


 3.11後の故郷への想い。

 時の経過や記憶の忘却により、受け継がれることなく途絶えようとしているもの。

 その糸と糸を記録によって呼び起こそうとする試みに、胸がうたれるものを感じた。

 目には視えない糸と糸を繋ぎ、結びあわせることでおこなわれる“継承”

 いまここに“わたし”がいること、“あなた”がいることも、脈々とつないできた血によるもの。


 それぞれの存在自体が、“継承”でもあるのだと。