2025/02/18

『中世の華・黄金テンペラ画』 at 目黒区美術館









 『中世の華・黄金テンペラ画』 at 目黒区美術館


 おおきな王冠に象られた“受胎告知”の絵に圧倒され、密かに息をつきながら、聖母マリアの“青”を見つめていました。


 マリアの青はラピスラズリでとさだめられていたこと、深く頷くものがあった。


 “空”という意味を名に宿した聖なる石、叡智の象徴。


 だから「神につながる石」とされ、いにしえの王たちはその石でみずからの装飾品をつくらせ、「神の代理人」であることを示した。


 昔のひとたちが“空”や“宇宙”をあらわす石、“神”の意志をつかさどるとされる石で「天の女王」と呼ばれたかたの姿をこの世に復元しようとしたことの、祈りについて思った。




 緻密に描きだされた紋様も、繊細に顕された象徴も、幾度も重ねられる色も、すべてが“祈り”そのもの。


 ボッティチェリの『聖母子』、クリヴェッリの『マグダラのマリア』などの模写が集っていたマリアたちの一角や、『輝く森』という題のこの絵にも、心惹かれました。