2025/11/14

11月の旅 Ⅰ  天橋立にいたる路 ⑦ 多賀大社







 気比のあと、旅の最後に訪れたのは多賀大社。





 この神社では、境内にさざれ石を拝見することができました。


 あの「さざれ石の 巌となりて 苔のむすまで」と歌われる“さざれ石”です。


 ちいさな石が「千代に 八千代に」歳月を重ねておおきな石に、岩になる。


 永続性、長寿、繁栄。


 “長くつづく”ことを願われたもの。


 石や岩のなかには不動であること、不変であることに捧げられた祈りが眠っている。


 だからそこに神が宿ると、いにしえの人々は思った。


 目に見えるもののほかに、目には視えない領域にある物事の重要性を知っていたひとたち。


 石がつどって岩になることでさえ、その過程を隈なく目に映すことはできない。


 磐座とは神が天下る岩のこと。


 巨石のなかにおおきな神秘を視たがゆえに。