気比のあと、旅の最後に訪れたのは多賀大社。
この神社では、境内にさざれ石を拝見することができました。
あの「さざれ石の 巌となりて 苔のむすまで」と歌われる“さざれ石”です。
ちいさな石が「千代に 八千代に」歳月を重ねておおきな石に、岩になる。
永続性、長寿、繁栄。
“長くつづく”ことを願われたもの。
石や岩のなかには不動であること、不変であることに捧げられた祈りが眠っている。
だからそこに神が宿ると、いにしえの人々は思った。
目に見えるもののほかに、目には視えない領域にある物事の重要性を知っていたひとたち。
石がつどって岩になることでさえ、その過程を隈なく目に映すことはできない。
磐座とは神が天下る岩のこと。
巨石のなかにおおきな神秘を視たがゆえに。