去年の11月、遠出で遊びにいったさきの通りがかったアイスクリーム屋さんで、その月限定の「あめゆき」というフレーバーが販売されているのを見かけ、おそらく「あめゆじゅとてちてけんじゃ」からきているのだろう、敏子の祥月命日がある月のためにつくられた“天上のアイスクリーム”に心惹かれた。
友人たちと一緒だったこと、先を急いでいたこともあり、一瞬ガラス越しの店内に目をやってそのまま通りすぎてしまったけれど、
これから日が昇るにつれ気温が上昇してゆくのだろう予感に包まれた、こんなまっしろな夏の朝にそのアイスクリームのことを想いだしてしまうくらいには「食べてみたかったな」という気持ちが残っている。
それは綿飴みたいな甘さだったのか、それとも爽やかな薄荷みたいな味だったのか。
そういえば去年の夏も朝がくるたび『永訣の朝』を紐解いていた。その詩と賢治について記された心ゆさぶる本を読んだために。
そして逢う機会があった友人たちに、その詩について感じること、考えたことを聞いてもらっていたときがあった。
だから余計に「あめゆき」という名に心惹かれたのかもしれない(あめゆじゅとてちてけんじゃ)
季節は巡り、去年のわたしとはまたいろいろと変わっているだろうけれど、去年の夏とおなじようにアイスクリームと詩のことを想いだした朝。