熊野への旅。
旅の目的を点としてさだめ、中心軸から旋回するように巡った場所。
わたしの目に映ったその土地は、“岩の都”だった。
途方もない年月を内包した巨岩の集積。
霧深い山のなかにも遥かな海のみぎわにも、そこに沈黙とともに佇んでいた、古い記憶の断片の荘厳さに圧倒された。
個人的に熊野には、蠍座的なものを感じた。
深く積みあげられた地層みたいな場所。
どのようなものであってもそうだけれど、自分がどの"層"を見るか、繋がるかで受けとるものもまた変わる。
深奥に触れるには自分もまたそれを見せる必要があり、自身のなかにある"それ"も映しだしてくれるところだと。