2026/09/03

祓い浄めの儀









 夏の記録。


 夏の盛りのころ、ご縁ある神社につたわる、古くより受け継がれた由緒ある神楽を拝する機会に恵まれた。


 代々、一子相伝で継承された一人舞であるそれは、素面の「四方祓の舞」――円を描くようにまわる場の“祓い”からはじめられ、


 つぎに、


 猿田彦命
 天鈿女命
 天児屋根命
 彦火火出見命
 大山祗命


 といった五柱の神々に扮し、それぞれの面をつけ、幣、剣、扇、弓矢などの神具を手に、鈴を振る。




 この鈴の音と、締め太鼓の調べのみで五柱の神々は舞い、


 歌や問答はなく、ただ舞のみでおこなわれる神事は、神楽としては特色があるのだと聞く。


 四方を弓で射る「魔の祓い」


 舞の結びに、神に供えられた団子が盛大に投げられる(節分の豆まきみたいに)


 そのお団子は神事が終わったあとに持ち帰ることができ、いただいてきたものを小豆とあえてお雑煮に。


 舞の合間にふるまわれる御神酒や、塩からつくられた菓子。


 団子(米)
 御神酒(酒)
 菓子(塩)


 神に供えられたものを、自分自身のなかに迎え入れることによって、舞をとおして顕れた神とひとつとなり、“それ”は完了する。


 邪気祓い。


 炎暑によって生じる「魔」を退けるためのもの。


 空間から、地域から、家から、肉体から、意識から、それぞれのひとりひとりから。


 祓いと浄めの儀、居合わせることができたこと、僥倖だった。