そういえばすっかり忘れていたけれど、
おととしのメイポールのとき、わたしが手にとったリボンに刺繍されていた星座は白鳥座だった。
今年のはじめに思いがけず貸していただいた衣のことを、「天女の羽衣」と呼んだりした。
それもたぶん、いつか見た夢のつづき。
夢はいつもわたしの、イマジネーションの源泉。
シグナスはサラスヴァティの星。あの星はスワンクイーンの故郷。
そろそろわたしにも自身のための、自分のためだけの“羽衣”が必要なのだろうと、なんとなくで感じている。
たとえば自分が王になりたいからといって誰かの“王冠”を強奪しても、みずからがその冠に見あう器でなければ“重さ”に圧し潰されて王位は失効される。冠はもともと自分のものではないから、それがもつ威光だけを横取りすることはできない。――聖なる泉で耳を傾けたそんな話を想いだす(そしてそれはわたしが、鏡や剣や勾玉にも感じていること。)
自分自身の内側から生みだされる王冠と、“外”に具現されたそれが深くつながるとき、そのひとは真の“王位”を頂く。
“羽衣”もおそらく、そういうもののひとつなのだと思う。