2026/01/16
『日本の色 染司よしおか 吉岡更紗の仕事』 at 三鷹市美術ギャラリー
『日本の色 染司よしおか 吉岡更紗の仕事』にうかがってきました。
和紙でつくられた椿も、貝紫も、天女の羽衣みたいな植物染の薄絹も、源氏物語の女君たちの衣裳再現も、どれもとても印象的だった。
着物のかさねあわせについての説明で、“襲(かさね)”と“重ね”でそれぞれ表記がわけられており、おなじ“かさね”という言葉でなにが異なるのだろうと、一緒に展示を拝見した友人と話していた。
あとで調べたところによると、“襲(かさね)”は人生や四季の移ろい、“もののあはれ”に代表される消えてはあらわれ、あらわれては消える泡沫を衣裳で表現するときにもちいた言葉で、“重ね”は構造や、物理的な機能性のことをさすとのことで、それが精神的なものからくるのか、あるいは物質的なものからくるのかで、おなじ音を字によって使いわけたのだとか。
それはおそらく“色即是空”につながる美意識にもとづく“捉えられないもの”に宿る美を愛でた日本人の心のありかたなのだと感じた。
源氏物語の女君たちの再現された衣裳を眺めながら香りの話になり、幾重にも“かさね”あわせることで、複雑な層をもち角度や時間によって変化する美を視覚であらわすためにあったのが平安時代における装束なら、それを嗅覚であらわしたのが香であったのだと。
五感というものを研ぎ澄ませること、気配にしのばせることが“美”であることの、豊かさを想う。
会期まえからうかがいたいなと思っていたものの、自分のスケジュール的にどうなるかわからなかった展示、うかがえてよかったし、うかがってよかった。