2024/12/08

ジョン・ウィリアムズ 『ストーナー』







 ジョン・ウィリアムズ『ストーナー』作品社


 ある彼女とお互いに本を贈りあう遊びで、彼女のための選書の一冊に、この書物を選んだ。


 翻訳の出版当時、いまから10年まえに読んだとき、粉雪みたいな小説だと感じたことを覚えている。


 ただ宙を仰ぎながら静かに降る雪を見つめている。


 次第にそれが積もり、自分のからだがその雪によって冷えてゆくのもかまわずに天を見つめつづけ、そのうちそれは冷たさではなく不思議なぬくもりを帯びはじめ、温かな感触に変わるような、雪に触れたときそのものの読書体験。


 どのようなひとがこの物語を現実に顕したのか調べたら、著者はすでに故人であり、それが1960年に書かれたものであったことを知った。


 彼女に選書するとき、ほかの本は読み返したけれど、『ストーナー』のあのすべてが漂白される雪の感触をそのままにしておきたくて、あえて再読しなかった。


 刊行からずいぶん時間が経っているので、出版社に在庫があるかしらと感じた懸念は懸念のまま終わり、この書物が静かな熱をもって密やかに確実に受け継がれ愛されているのだと再発見できたこと、とても嬉しかった。


 雪の冷たさと温かさは、そこに内包された悲しみと愛のおおきさ。





2024/12/07

本遊び






 おなじ価格を上限とし、お互いのための本を選んで贈りあう、という遊びを友人として、彼女がわたしに選んでくれた書物たち。


 草舟あんとす号さんがこの“遊び”の橋渡しの役を引き受けてくださり、それぞれにお頼みした本を受けとりました。


 これから読むのが、とても楽しみ。





 彼女からわたしへ


 カズオ・イシグロ『クララとお日さま』ハヤカワepi文庫
 サマセット・モーム『人間の絆(上)』新潮文庫
 サマセット・モーム『人間の絆(下)』新潮文庫
 村上春樹『レキシントンの幽霊』文春文庫
 今井むつみ『ことばの発達の謎を解く』筑摩書房
 桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』角川文庫
 フィリップ・K・ディック『去年を待ちながら』ハヤカワ文庫SF
 橋爪大三郎『はじめての構造主義』講談社
 ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』新潮文庫
 綿矢りさ『ひらいて』 新潮文庫





 わたしから彼女へ


 小川洋子『物語の役割』ちくまプリマ―新書
 川端康成『眠れる美女』新潮文庫
 平出隆『葉書でドナルド・エヴァンズに』講談社文芸文庫
 ジェニファー・イーガン『ならずものがやってくる』ハヤカワepi文庫
 ジョン・ウィリアムズ『ストーナー』作品社
 レイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』筑摩書房


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 ちなみに彼女が最初に選んでくれた書物のなかに、レオン・ウォルトの『僕の知っていたサン=テグジュペリ』と桜庭一樹の『青年のための読書クラブ』があったのですが、どちらもいまのところ重版未定とのことで、今回は断念。



 彼女がつくった選書の一覧と理由を綴ったメニューも一緒に贈ってくださり、それもとても嬉しかった。


 最初に書かれてあった『クララとお日さま』の項目だけ、ここにも。





2024/12/06

薔薇と白雪








 薔薇と白雪の結びは、
 火と水の結びでもあったのだと。


 夏至まえのあの夏と、
 冬至まえのこの冬を。



 薔薇と白雪というと、しらゆきべにばら、ゆきしろばらべにを想いだして、Dieter Muellerの絵本をひさしぶりに引っ張り出してきた。


 点滴堂さんの展示もふくめて記憶が遡る。懐かしい。