いただいたお手紙の便箋の片隅に描かれていたアンク。
アンクは死のあとの再生を暗示する、エジプトの護りのしるし。
それを持つ者は、現世と来世の境界を無事に超えることができるとつたわる、通行手形のようなもの。
エジプトの神々の壁画に、このアンクを手にしている姿がよく描かれている。
死と再生の象徴を、現世の命のおわり、来世の命のはじまりで示して、無事に“復活”できるようにという祈りをあらわしてもいる。
でも、“死”は現実的な命のおわりだけを示すのではなく、わたしたちは生涯のあいだに幾度も死んで生まれ変わっている。わたしたちは一生のうちに何度も復活し、再生している。
アンクは「生命」を意味し、死と再生の通過儀礼がつつがなく果たされるように、というシンボルのなかには、そのひとがそのひとの「生命」を生きることができるように、という護りが宿されている。