2024/03/12
3月、ペルセポネ
Luna Somniumの3月は、女神ペルセポネとのつながりを深めています。
今月セッションをお受けくださるかたに施術させていただくエネルギーにはすべて、対面、遠隔問わず女神ペルセポネのエネルギーが副次的にふくまれます。
ペルセポネはギリシアの女神で、ギリシアにおける天空の神、最高神ゼウスと大地の女神デメテルの娘であるとされています。
もともとは“乙女”の意味をもつ「コレー」という名であった彼女は、冥界の王ハデスに見初められて地上から地下の世界に連れ去られ、ハデスの妃となる道を辿りますが、「ペルセポネ」という名は彼女が冥界の王の妃となり女王になったあとの名でもあります。
古来よりさまざまな国で、そのひとの“切り替わり”のタイミング、たとえば元服など人生の重要な節目で名を変えることがありましたが、コレーからペルセポネへの移行のなかに、この女神の通過儀礼を見ることができます。
大地の女神の娘である彼女は、光や植物と非常に親しい女神で、“光の娘”のその美しさが安全に守られるよう、ひとかけらも損なわれないように、母神は彼女を誰の目にも触れさせぬよう、自然のゆりかごのなかで育てました。
彼女の友人は植物であり、動物であり、エレメントでした。
しかしその“ゆりかご”の境目から満ち足りた彼女の少女期のなかに侵入してきた“他者”がいて、それが冥王ハデスです。
ハデスは冥府、地下、黄泉の国の王であり、闇が集うその場所にあって、地上の光が結晶されたような“コレー”に、自分がもとめていたもの、足りないと思っていたもの、陰と陽の陽を見たのかもしれません。
かくして彼女は誘拐され、地上と、光と、大地の母と引き離されて、闇を知ることになりました。
わたしはこの女神をタロットカードの「女教皇」になぞらえることがありますが、それは女教皇が目に見えるものではなく、目には視えないもの、世界とつながるために、自分自身の内側に深く入り込むこと、答えは“外”ではなく“内”にあり、みずからの内側から湧き出るその“答え”を受けとるためには、自身の闇も光も知り、それを統合してゆく必要があることを、教えてくれるカードだからです。
ペルセポネは自分の意志ではなく冥界に連れ去られ、みずからが望んで招き寄せたわけではない出来事、状況、環境のなかで、それでも自分自身の光を信じつづけることをもとめられました。
闇を視て、そこから反射される自身の怖れ、諦め、絶望に苛まれるときでも、その奥にある光とつながること。自分の魂の本質である光と真につながるための、影であり暗闇の時間をそこで経験しました。
光だけの世界である“ゆりかご”の時代にいたときに知っていた光は、彼女がコレー(乙女)であるときの光。それはまだ闇を知らなかった段階の、無邪気さと無知からなる光。空を知らない雛鳥が巣のなかで得られた光。
それが真実の光に成熟されるためには、「無知の知」の段階まで自分の意識が否応なく引きあげるようなことが、自身の“外”の世界をとおして起きる。
無知の知。――「わたしはまだなにも“知らなかった”ということを“知る”」
ひとつの世界のなかにいるとき、それが自分のすべてであると錯覚することがあります。
その世界が罅割れたとき、良くも悪くもそれまで自分が「これが常識」「これが正しい」と思ってきたものが刷新され、それまでの古い価値観、真の自分から分離していた意識を浄め、それらを受けいれる空間をひらくため、自分自身も浄化されるようなことが生じます。
その浄めをとおして、奥深くに隠れていた自身の本心を炙り出されることがありますが、それは自分のなかに眠っていた闇を見つめる、ということと同義語であることもあります。闇は“外”からやってきたのではなく、みずからの“内”に隠れ、それが隠されていたことを、“外”からの現象をとおして教えてくれる。
光の娘であり冥府の女王であるペルセポネは、闇と光の統合の女神でもあります。
彼女はわたしたちの人生のボイドタイム、魂の闇夜のなかでも、わたしたちの影に寄り添い、そして光の方向を指し示してくれる案内人です。
わたしたちがその光を信じられないときでも、彼女はわたしたちの影のなかにいて、そうとは知らない「地下」で手助けしてくれている。
わたしたちがみずからの「地下」と「地上」、潜在と顕在を自分のなかに統べたとき、真実の自分自身になるのだと、教えてくれています。
だからペルセポネは死と再生の女神であり、冬のあとにかならず春がやってくること、季節がそうして巡るように魂にもそのような周期があること、わたしたちの闇や影に癒しをあたえることで、光をおおきくすること、それによって自身の“真実”にしたがい人生を生きることを見守ってくれます。そのために過去における体験、打ち砕かれた記憶、喪失、誇りを修復し、手放す必要のあるものは昇華することもサポートしてくれます。
また神話におけるペルセポネと母神デメテルとの関係は、一心同体である母娘が、お互いの自立のために「離れる」ことの重要性を暗示してもいると思います。
母と子の結びつきが強すぎるとき、そこに外部が入り込む隙間はありません。
それはそれで見方次第では幸せなことなのかもしれませんが、結びつきは呪縛となり、自分自身の世界がひろがることを妨げます。
自由がさまざまな視点からの眼差しを知っていることだとすれば、世界のひろがりを狭めることは、それだけ不自由であり、制限されている、ということでもある。
ペルセポネがコレー(乙女)からひとりの成熟した女性になるためには、母の“ゆりかご”から一度脱することも大事なことだったのだと思います。
母の価値観、母の掟、母の判断からできた“ゆりかご”の庭から離れ、自分自身に生まれ変わる過程で経験した闇が、母の“正しさ”から抜け出そうとするみずからの“誤り”を罰として突きつけているように感じられたとしても、それすらも“成熟”のために大切な栄養であったこと。
この母神デメテルとペルセポネを同一の女神として見ることもあり、そのときデメテルを光、ペルセポネを闇として、みずからの闇と光の分断、そして統合を暗示することがありますが、どちらであってもテーマはおなじであって、ペルセポネは真の自分自身になるための、死の眠りと目覚めの祝福をわたしたちに教えてくれる女神なのです。
今月は春分があり、冬から春へ、眠りから目覚めへ、ペルセポネが地上に還ってくる月でもあります。
そのための準備として、どうぞすべてのひとがみずからの“内”を見つめる静かな時間をもつことができますように、そして自分自身に力があること、どのような問題であれあなたのほうがその問題より“強い”のだということを想い出すことができますよう祈っています。
*3月、これからの予定*
3月30日(土・夜)* 今月のセッション(対面・遠隔)をお受けくださったかたへ、30分間の女神ペルセポネの一斉遠隔ヒーリング
*該当されるかたには当日、個別にご連絡差しあげます。
それではどなたさまも佳き3月をお過ごしになりますように。
あなたがいつもあなたでありますように。
*LOVE*