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境目の宙を踏む足袋鉾の稚児
2025/10/29
MYSTERY OF TUTANKHAMEN
『MYSTERY OF TUTANKHAMEN』に過日訪いました。
“死”は終わりではなく無でもなく、この地上からつぎなる世への移行であり、定められた周期で氾濫と豊穣を繰り返すナイル川の“再生”と、太陽の運行に見る“永遠”にもとづいている古代エジプトの死生観。
王墓にはそのための祈りがおさめられている。
ツタンカーメンの王墓の副葬品を精巧に再現したレプリカによる展示。
複製をとおして当時の息づかいや若き王の生涯を、五感で感じるためのもの。
黄金のチャリオット、死者の魂の守護者であるアヌビス、神々とヒエログリフ。
おととしの角川武蔵野ミュージアムでの開催からうかがいたかった展示に、ようやく。
ツタンカーメンとアンケセナーメン。
王と王妃がむかいあう玉座のレリーフに、わたしは幼いころから惹かれていて、これらが発掘されたさいのハワード・カーターの言葉をふくめ、子どもの時分より神話のように感じている。
(この場合、それが“ほんとう”かどうかは、わたしにとってあまり重要ではなく。)
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『最も感動的だったのは、横たわった少年王の顔のあたりに、小さな花が置かれていたことだ。私はこの花を、夫に先立たれた少女の王妃が、夫に向けて捧げた最後の贈り物と考えたい。墓はいたるところが黄金で包まれていたが、どの輝きよりも、そのささやかな花ほど美しいものはなかった。』
ハワード・カーター
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