月と人魚をとおしてあらわれる、海と黄泉に関わりをもつ女神たちと神話世界。
わたつみの宮と題された絵のなかで無限大を描く豊玉姫と玉依姫。
孔雀と蛇とサラスヴァティ。
女神としての月読(月黄泉)
強さ、豊かさ、知性をつかさどる三位一体の美。
尾の紋様に暗号を秘した、高貴でうつくしいかたたちとの至福の時間。
上弦、満月、下弦の三相で完成される月の神秘。
Zaroffで開催されていた坂上アキ子さんの『月と人魚』展、とても素晴らしかった。
“人魚”――。
先月、そこへ訪れたいという気持ちをしるべに、ちいさな旅をしてきたことも想いだす。
青い水の聖域がある森。
梢からふりそそぐ鳥の声、光を浴びて水の底に浮かびあがった陰影が人魚のシルエットのようだった。
矢車菊の花とおなじ色、その場所のシンボルでもあるというカワセミの色にも通じる、吸いこまれそうな青のこと。