2024/05/14

女教皇についての覚え書き





 あるかたとタロット談議をする機会があったのですが、その場ではおさまりきらなかったものが言葉として浮かんでくるので、浮かんでくるものをイメージとしてつかもうと形に残して送りつけたものが我ながら面白かったので、ごく個人的なものは省略したり補足が必要そうな箇所は加筆修正したりしながらも、ほぼおなじものをここにも残しておきます。


 相も変わらずmaniacな話を、わたしとおなじように面白がってくださるかただけお読みになってくださればと思いつつ。





 ウェイト=スミス版のタロットの女教皇のことなのですが、わたしはこのカードにギリシア神話のペルセポネを感じるというお話をしました。それでいながらこのカードはイシスでもあると。


 でも、イシスであれば本来、頭に載せているのは牡牛のシンボルではなく玉座であるはずで、牡牛をシンボルとする女神はハトホルです。


 エジプトにおいて時代が下るごとにイシスとハトホルは融合され、現在ではイシスの頭にあのシンボルがあることもめずらしくありません。


 なぜあのシンボルがハトホルからイシスに移動したのかについて、わたしはあのシンボルはトリプルゴッデスのシンボルにも見えるからなのではないかと感じたことがありました。


 上弦の月、満月、下弦の月で、乙女(インナーメイデン)、母(マザー)、老賢母(ワイズウーマン)をあらわすトリプルゴッデス。


 女教皇は背後にある二本の柱を統合して次なる数字である3にむかうカードで、3のまえの2をあらわすカードでもあります。


 またこのカードは「目には視えないものを読みとる」「現実にはあらわれていないもの(地下)にあるものを視る」という意味での巫女を示してもいますが、イシスはオシリスの伴侶であり、オシリスは冥界の王です。またペルセポネも冥王ハデスの妻でもあります。


 冥界=黄泉は、地下にあるもの、目には視えないもの、現実にはあらわれていないもの、彼岸であり、その王たるものの伴侶である彼女たちは、その力に認められている存在であるともいえるのだと思います。


 だからわたしは彼女たちに共通するもの、女教皇の姿を感じているところがあり、またペルセポネの神話のなかにトリプルゴッデスも感じて(彼女のもともとの名は“乙女”の意味をもつコレー、母であり一心同体であり陽としての自分であるデメテル、そして“地下”の女王になったときの名がペルセポネ)、2を統合して3になる女教皇に、そしてつぎなる数字である3の女帝に、たくさんの陰と陽の女神たちを見ることがあるんです。


 それはそこにあらゆる女性のなかのトリプルゴッデスを感じているといえるのかもしれません。


 また、本来の牡牛の女神であるハトホルはそのまま牡牛座で金星でタロットでいえば女帝をあらわす女神であるとわたしは感じています。ウェイト=スミス版の女帝はギリシア・ローマ神話のアフロディテ(ヴィーナス)をあらわしているといわれることもありますよね。わたしとしてはおなじ金星でもハトホルはそのまま牡牛座、アフロディテは天秤座のイメージです。


 そういえば先日のお話のなかですこし触れた分野については、エジプトとイシス、ホルスあたりのことを辿ってゆくと、避けてはとおれないところがあり(とくにイシスとのつながりを深めるうえでは、わたしには重要なことのように感じられました)、すこしだけ学んだことがあるのですが、その分野にかぎらずすべてのこと、たとえばスピリチュアル(とひとくくりにはできないほどさまざまな側面をもつ言葉ですが)と呼ばれるものでも、宗教と呼ばれるものでも、芸術と呼ばれるものでも、哲学と呼ばれるものでも、おそらく科学と呼ばれるものでも、つきつめればいきつく答えはおなじ、おなじことをべつのいいかたであらわしたり、べつのいいかたであらわしているから自分が所属しているもの以外のものが異端に見えたり、派閥になったりするのだ、ということに気づいたとき、お話した分野について深める必要は自分にはないかな、ほかのルートからでも、それを深めるのとおなじ見地に辿りつくことはできるだろうなと感じ、学ぶのを中断しました。


 単純にあまりその“ルート”を取りまく空気(としかいいようのないもの)が自分の好みではなかったというのもあります。





  神話のなかの姉妹や母娘のなかに、女性のなかの陰陽、闇と光を映しだしているというのはよくあることで、昔、イワナガヒメとコノハナノサクヤヒメを巡ってこんなことを書いたこともありました。


 自分自身はあれからすごく変化したように感じるし、また事実そうなのだと思いますが、それでも好きなこと、考えることはおなじなのだな、子どものころからそんなふうに遊ぶことが好きだったな、つまりはわたしにはすこしmaniacなところがあるのだなと感じたりします。そしてそんな自分がけっこう好きです。